淡路3年トラフグ

「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われるフグの旬。全国で水揚げされるフグの約7割が京阪神で消費されるなどフグ食文化が広く根付く関西では、この季節になると「てっさ」や「てっちり」が恋しくなる方も多いのではないでしょうか。
東シナ海と日本近海を回遊することから全国各地で水揚げされるフグ。中でも大型で味も良く「王様」とも言われるトラフグは、瀬戸内海では下関のほか、広島県尾道市の向島と因島に挟まれた布刈瀬戸、岡山県と香川県を隔てる備讃瀬戸に産卵地があります。300万年前からはじまった地殻変動によって瀬戸（海峡）と灘が繰り返す特徴的な地形が形成された瀬戸内海。潮の流れが速い瀬戸は底質が砂地で、フグの産卵に適した環境になっています。また、潮流が速いほど筋肉質になり、身に含まれる旨味成分「イノシン酸」の量もアップ。そのため、瀬戸内海産のトラフグは味が良いとされています。
瀬戸内海の高速潮流はトラフグの養殖にも適しています。中でも有名なのが淡路島の養殖フグ「3年トラフグ」。世界3大潮流の一つに数えられる鳴門海峡の高速潮流に育まれたトラフグは天然物にも引けを取らないほど筋肉質で、濃厚な旨味を有しています。この冬は世界でもめずらしい地形が育んだ海の恵みをどうぞご堪能ください。